ブログ

ホームページやECサイト、DXの制作・運用に参考になる情報を随時発信しています。

小売業におけるデータの活用事例【データこそ売上アップのカギ】

この記事では、小売業におけるデータ活用の重要性や活用事例、データ活用をする際の注意点についてご紹介します。データを活用することで売上アップやコスト削減を実現したい方はぜひご覧ください!

小売業における課題

小売業には以下の課題があると言われています。順番に見ていきましょう。

  • 消費者ニーズの多様化、トレンドの短期化
  • 過剰在庫のリスク
  • 人材不足

消費者ニーズの多様化、トレンドの短期化

技術の発展とSNSの普及によって、商品が売れづらくなってきていると言われています。

他社との差別化のために、企業は安く質の良い商品の開発に取り組みます。開発された商品は、スマートフォンなどの通信機器の普及に伴って利用が広がったSNSによって、瞬く間に拡散されるようになりました。その結果、消費者のニーズは多様化、トレンドは短期化し、商品を売ることが難しくなっています。

過剰在庫のリスク

在庫を持つことにはメリットも存在しますが、需要以上に商品を多く入荷し在庫として抱え込む過剰在庫には大きなリスクが生じます。在庫をもつことのメリット、デメリット両方を理解し、なるべく適切な量の在庫をもつことが重要です。

在庫をもつメリット

在庫をもつことには以下のようなメリットがあります。

  • 商品の品切れを防ぐことができる
  • 仕入れのコストを削減できる
  • 万一、不良品があった際にも迅速に対応ができる

適切な量の在庫であれば、品切れの防止や迅速な不良品対応ができ、機会損失やクレームの回避につながります。また、一度に多く仕入れることで仕入れのコストを削減することもできます。

在庫をもつデメリット

一方で、在庫を持つことには以下のようなデメリットも存在します。

  • 商品価値の低下
  • 保管場所の確保や管理費用の発生
  • 廉価販売や廃棄による収益の悪化

過剰在庫となってしまうと、品質の劣化やトレンドを逃すことによる陳腐化など商品価値の低下を引き起こす可能性があります。その結果、安く販売したり、廃棄したりといったことになると収益が悪化してしまいます。また、保管する場所を管理する費用も余分に発生するため、適切な量の在庫をもつことでこれらのリスクを減らしたいところです。

人材不足

小売業における人材不足の要因は以下の2つと考えられています。

  • 人口減少と少子高齢化
  • 厳しい労働環境
人口減少と少子高齢化

総務省統計局が2024年4月22日に公表した人口推計によると、日本の人口は今もなお減少傾向にあります。また、2023年11月1日時点の65歳未満の人口が前年同月に比べ減少、65歳以上の人口が前年同月に比べ増加しており、少子高齢化は今も進んでいます。

出典元:総務省統計局|人口推計(令和5年(2023年)11月確定値、令和6年(2024年)4月概算値)

厳しい労働環境

小売業の労働時間は長く、休みが取りづらいため、求職者が集まりづらいと言われています。農林水産省の卸売業・小売業における働き方の現状と課題についての調査によれば、全産業と比べ、小売業の勤務時間が長いことや年間休日数が少ないことが分かります。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: kouri_work_report.png

出典元:農林水産省食料産業局|第3回働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 卸売業・小売業における働き方の現状と課題について

小売業におけるデータ活用のメリット

過剰在庫や人材不足といった課題を抱える小売業において、データの分析や活用が注目されています。データ活用にはこれらのメリットがあると考えられているためです。

  • 効率的な売上アップにつながる
  • 在庫の最適化
  • 属人化の解消

効率的な売上アップにつながる

データに基づかない思いつきの施策では、成功する根拠に乏しく、失敗する可能性が高いです。仮に成功したとしても、再現性が無く一過性のもので終わってしまいます。

データに基づいて仕入れや集客などに関する施策を行うことで、成功の再現性を担保しながら成功性を高める施策を試行錯誤でき、効率的な売上アップにつながります。

在庫の最適化

データを活用することで、在庫管理の効率を上げ、適正在庫に近づけることができます。過剰在庫となるリスクを下げ、廉価販売や廃棄を減らし、保管場所の管理費用を削減することが可能です。

属人化の解消

商品の需要を予測し、適切な発注数を決めるには熟練の経験と勘が必要とされます。しかしAIを用いて需要予測を行えば、発注数を決める労力をカットできるだけではなく、誰でも精度の高い需要予測ができるようになり、属人化の解消につながります。

小売業におけるデータ活用の事例

ヤクルト

飲料メーカーであるヤクルト社は、顧客の購買行動を分析することでオランダでの売上を15~20%も伸ばしたことで知られています。

ヤクルト社の課題の1つには、スーパーマーケットなどの各店舗で商品をどう配置するか?というものがありました。同社の商品は1つのカテゴリ内に100~150点もあり、店頭に並んだそれらが互いに顧客を奪い合っていたためです。顧客の購買行動を分析した結果、今ではスーパーマーケットの店舗別に同社商品と競合商品の売り上げの比較や棚割1センチ当たりの商品の回転率までも分かるそうです。

購買行動の分析による成功例の1つは、通常サイズの7本パックのヤクルトの隣に15本パックのヤクルトを並べておくと、どちらの売上も伸びることを発見したことです。これは、分析によってそれぞれのパックのヤクルトを買う客層が異なることが分かったから発見できたそうです。購買行動のデータを分析することでこのような発見をし、都度改善していくことで、オランダでの売上を15~20%も伸ばすことに成功したと言われています。

参考:ITmedia エンタープライズ|ヤクルトの売り上げを大幅に伸ばしたデータアナリティクスの秘密

GEO

株式会社ゲオは今や、DVD/CDレンタル、ゲーム販売などを手がける「ゲオショップ」を1,000以上もの店舗を全国に展開しています。

ゲオショップの有効会員数は現在2,600万人を超えていますが、その会員のデータを会員証を兼ねる「ゲオアプリ」によって取得しています。ゲオでは、ゲオアプリから得られる情報を分析し、顧客一人一人に対して最適なアプローチを図ることを目指しています。

参考:IT Leaders|ゲオ、データ分析基盤導入し“個客”指向を強化

グッデイ

株式会社グッデイは北九州市を中心に65店舗のホームセンターを展開しています。

取り扱っている商品は8万点にのぼるそうです。かつて、それらの発注業務は現在の在庫数と過去の販売データを比較しながら行っていました。しかし、最終的には各店舗の担当者が経験則によって発注量を決定していました。そのため在庫に過不足が発生してしまうことがあったといいます。

そこでグッデイでは、商品の売上数をデータから分析して予測することに注力します。その結果、ある商品では過去3年分の販売実績データや気象データにより、98%もの精度で予測できるようになりました。それまで人の経験則に頼っていた発注業務を、客観性をもってだれでも同じように行えるようにしたのです。

参考:株式会社グルーヴノーツ|利用事例:98%の精度、AIで販売数を予測して最適な発注量を決定

データ活用の注意点

そんな魅力的なデータ活用ですが、注意点もいくつか存在します。

データ分析に関する知識が必要

正確な分析や効果検証を行うために、データの分析にはある程度の知識やスキルが必要になります。例としておむつとビールの話をご紹介しましょう。

あるスーパーマーケットの購買情報を分析したところ、おむつとビールがセットで購入されることが多いことが分かりました。この分析結果からは、おむつとビールの棚を近づければ売上アップにつながりそうなことは分かりますが、なぜセットで購入されることが多いかは分かりません。セットで購入される理由を解明するには、必要なデータを集めるための知識や、仮説を立て検証するスキルが必要です。

このように、データから価値を最大限発掘するには知識やスキルが要求されます。

今あるデータがそのまま使えるとは限らない

早速今あるデータを活用したいと思っても、そのままデータを活用できない場合があります。その1つの例として挙げられるのが、データのサイロ化が発生しているケースです。

データのサイロ化とは、組織内でデータが分散された状態になっていることを指します。組織内でデータがバラバラになっている場合、どこでどのようなデータを管理しているか確認する必要があります。そうしたデータは保存されているファイルの種類や型などが異なり、すぐに利用することができない場合があります。

成果が出るのに時間がかかる場合がある

AIを使って需要予測を行わせる場合、精度を高くするためには大量のデータが必要となります。保存されているデータの期間だけでなく、項目の数や内容も重要であり、AI導入初期の頃はデータが不足しているために予測精度が上がりづらい場合があります。

AIによる需要予測などデータの活用・分析ならOffice Kにお任せください

小売業におけるデータ活用の重要性や活用事例、データ活用をする際の注意点についてご紹介しました。データを活用することで、在庫の最適化や属人化の解消を実現し、過剰在庫や人材不足といった課題を解決することが可能です。

Office Kでは、AIを用いたシステム制作を承っております。その数値予測の精度は9割を達成したことも。専属のAIエンジニアが貴社のデータに合わせて精度の高い予測ができるように調整いたします。

AIを用いたシステムをご希望の方は、Office Kにぜひお気軽にご相談ください!

経営課題解決に最適なシステムをお求めの方はぜひご一読ください

DX導入による業務効率化、生産性向上を検討されている方向けに、Office Kのシステム開発にかける熱い思いやこだわり、提供するソリューションの例等を以下のページでご紹介しています。